もう昔と言っていいほど遠い過去のことになるが、
わたしのからだをまめにニギニギしてくれる子がいた。
年はかなり若かったが、とてもむちむちしていた手で、
私はごくしぜんにその子をおもちちゃんと呼んでいた。
このおもちちゃんが私を可愛がってくれたことは間違いないのだが、
ある時ちょっとした違和感を感じて、意見をされた。
「もう、ぼくはよだれを流すこともない。君は卒業さ。」
それから、もう昔と言っていいほどの遠い過去になるが、
私はすっかりニギニギから遠ざかっていたのです。