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2023 poche-nigi

2023-068

シロクマがくしゃみをした。そのくしゃみのいきおいで、しろくまのハナのまわりの白い毛が、いくつか飛び抜けた。飛び抜けた白い毛が、ちょうどまわりを飛んでいたハチの羽にあたった。バランスをくずしたハチは、よろよろとシロクマのまえあしに着地する。着地したひょうしにうっかりして、おもわずチクッと、シロクマの前足をさしてしまう。おどろいたシロクマは前足をぶんぶんとふりまわす。ぶんぶんとふりまわした前足が、足もとにあった石を蹴り上げる。蹴り上げられた石は、大きな曲線をえがいて花畑につっこんでいく。花畑でせっせと蜜を集めていたおおぜいのハチたちが、驚いていっせいにとびたつ。いっせいにとびたったハチの羽音がブンブンとすごい音を立てる。その音に驚いた近くのクロクマが、あわててかけだす。あわててかけだしたクロクマが巻き上げた砂ぼこりが、あたりを包み込む。あたりいちめんの砂ぼこりに包まれたシロクマは、たまらずむずむずと、くしゃみをした。そのくしゃみのいきおいで、シロクマのハナのまわりの白い毛が、いくつか飛び抜けた。