Mail Angle_up Angle_down Angle_left Angle_right Menu_open Menu_close prev next byebye
056 / 999
2023 sta-nigi

2023-056

この前テレビで、おれたちオオカミのことを特集していのを、偶然見た。
孤高の存在、完璧な狩人、統制された一族。
そうした扱われ方だ。まあまあ、そんなに褒めなさんな、と、思わず笑みも出た。
最後の方に、「なんとそんなオオカミの血を受け継いでいる者たちが、、、!」とテロップが出る。
おいおい、さぞや立派な種族なんだろうよ、と思いかけた次の瞬間、画面いっぱいに映し出されたのは、
まったくしまりのないにこやかな笑顔で、ヒトに尻尾を振って、うまそうなカリカリしたご飯をもらっている柴犬だった。
おれは衝撃のあまり、思わず遠吠えをするところだった。
まさか!おれの子孫がこいつだって!?
いったい何が起きたのか分からなかった、だってそうだろう、こんなのが狩りができるか?孤高の存在の末裔に見えるか?
俺は愕然とした、が、すぐに思い直した。まあいいだろう、時代は変わるものさ。
頭のいいおれはすぐにそう切り替えて、赤ちゃんのそばに、ニギニギされるために戻っていった。