みだれる布ずれの音と
たちこめる甘いかおり
いまにもせきをきって
あふれだしそうなグズりのけはいが
ちいさなベッドにうずまく
「お客様のなかに、
ニギらせていただけるかたはおりませんか…!
すこしでも、すこしでも…!」
ひつうなさけびがこだまする
はがためも木のおもちゃもかたくくちをとじ
モビールもただただまわるだけしかできない
このしゅんかん世界からは
ニギニギがすべて失われてしまったかのような
永遠ともおもえる時間がきざまれていく
(…わたしをニギってください!)
ふとむなもとから声がきこえたきがした
「わたしを、ニギってください!!」
こんどはほんとうにそう聞こえた。
ぼくはおどろいて、
じぶんのしているスタニギーに目をやる。
(ニギれる…スタイ…スタニギー!)
そこからはニギニギできたので
大丈夫でした。
おしまい